「真鶴自然こどもクラブ 『まなづる港の今とむかしをたんけんしよう!』」(2016年1月6日(水))

1月6日に、真鶴町内の子どもたちを対象に「真鶴自然こどもクラブ 『まなづる港の今とむかしをたんけんしよう!』」を開催しました。
魚市場がある真鶴港は、早朝には多くの漁船が出入りし、他にもヨットや釣り船などさまざまな船が往来します。さらに岸壁では釣りをしたり、町のイベントの拠点になったりと、人々の楽しみの場にもなっていますが、もともとの地形を活かした天然の港として、古くから利用されてきたそうです。相模湾に突き出た半島の地形が風をさえぎってくれるので、船を安全に停泊するのに最適だったと考えられています。今回のこどもクラブでは、主に大正時代の写真を手がかりに、真鶴港周辺の地形や自然、人々の暮らしについて今と昔の風景を比べてみました。

最初は、大正15年に貴船神社を写した写真をもとに、現在の貴船神社を調べてみました。
写真は現在のどの地点から写したのか、同じアングルを探してみました。大まかな見当をつけることができましたが、するとさらに気になる点が出てきたので、また調べてみる、ということを繰り返しました。過去を知るためのヒントを探してみると、意外と見つけることができ、わからなかったことが見えてくるので、その楽しさに子どもはもちろん、大人も夢中になっていきました。
昔の写真の撮影場所を探しています。
 「現在の鳥居は、いつ建てられたのかな。」
「写真に写っているのと同じものかな?でも、鳥居の前の階段の段数が今と昔では違っているね。」
神社の階段や沿道の石碑などを調べているうちに、鳥居の裏側に掘られている文字から、鳥居は大正12年の関東大震災で被害を受けた後に再建されたものだということがわかり、現在の鳥居は写真のものと一致するだろうと考えられました。
貴船神社の鳥居に刻まれた「大正十五年五月再建」の文字。
その後、港に移動しました。港内にもいろんな生物が生息していて、岸壁から覗くだけで観察して楽しむことができます。
今回の発見は、マダコです。岸壁にくっついてじっとしていたのですが、少し黄色がかった目が二つ並んでいるところを、参加してくれた子が見つけてくれました。その他にも、ソラスズメやチョウチョウウオなどの熱帯性の魚も見つかりました。例年この時期はほとんど見られないのですが、今年は冬になっても水温が下がらないので観察することができました。

マダコ。参加してくれた子が見つけてくれました。
岸壁にはイトマキヒトデもたくさんいました。

 その他、真鶴港周辺のしとどの窟を調べたり、港全体を写した写真から現在との地形や町並みを比べてみたりしました。
しとどの窟は、写真よりかなり小さくなっている印象です。火山の噴火により溶岩が冷えてできた真鶴半島は、質の良い石材が採掘されています。半島周辺の海岸ではたくさんの石材を切り出したと言われています。
しとどの窟(いわや)。
また、現在、岸壁広場として釣りや町のお祭りなどで人々が集まる場所は、大正時代は砂浜でした。海水浴も楽しめたようです。現在は埋めてられて、たくさんの船が停泊できるようになっています。
昔と今を比べると、地形や自然などの変遷だけでなく、町の産業や発展、人々の暮らしの変化なども探ることができました。自分たちの町の昔の様子を自分たちで歩いて調べてみることには「わくわく」があります。町に興味をもつきっけになればうれしいです。
岸壁広場。昔は砂浜海岸でした。

次回の真鶴自然こどもクラブは今回と同じ内容で真鶴町岩地区での2月開催を予定しています。ぜひ遊びに来てください。


※本イベントは、船の科学館・海の学びミュージアムサポートの助成により、真鶴町内の児童・生徒を対象に真鶴町からディスカバーブルーが受託を受けて実施しました。

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